介護・福祉業界では、深刻な人手不足が示唆されています。その背景には、劣悪な労働環境による離職率の高さや、コロナによる外国人労働者の受け入れが難しい現状などが関係しているとの声も。
今回は、介護・福祉業界が人手不足と言われる現状を踏まえ、採用戦略における課題の解決策をご紹介します。
介護・福祉などの医療福祉業界における
人手不足の現状がやばい?
介護・福祉業界の人手不足は深刻であるとわれています。その背景には、低賃金・長時間労働などの劣悪な労働環境による深刻な問題があり、職場の人間関係などの業務に関わる職場の雰囲気の悪さもまた、離職率の悪化を助長させています。
このように、労働人口が少ないにも関わらず、職種に対するイメージの悪さによって求人を出しても応募がなかったり、労働条件が悪すぎることで、すぐに辞めてしまったりするケースが多いことから、必然的に人手不足になってしまいます。
参考文献:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
7割以上が人手不足と回答!介護・福祉業界の人材不足は嘘ではなかった
介護・福祉業界における人手不足は、上図からもわかるように、現場スタッフも不満を感じつつある深刻な課題です。<第15回 「介護の日」アンケート結果>によると、2022年では介護施設の7割近くが職員不足を感じています。
このような、介護・福祉業界における人手不足への課題は、少子高齢化を筆頭とした、さまざまな原因が組み合わさって引き起こされます。
参考文献:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
少子高齢化により介護・福祉のニーズは高まりつつも労働者が減少している
少子高齢化の影響により介護へのニーズが増える一方、労働者の供給が追いつかないことが、介護・福祉業界における人手不足の主な原因のひとつです。2025年までに約38万人もの人材不足が示唆されており、少子高齢化の進行が加速する今、このままでは介護従事者の人手不足は、どんどん加速すると考えられます。
介護・福祉業界の人手不足へ対処するには、若者の医療・介護職への就業意欲を高める施策や、高齢者の労働参加促進など、労働者に対する業界のイメージチェンジ的な施策が求められるでしょう。
参考文献:介護人材の処遇改善について
介護・福祉業界における人手不足の原因
介護・福祉業界における人手不足に大きく影響する高い離職率は、少子高齢化や労働環境の過酷さなど、複合的な要因によって生じています。また上図より、「職場の人間関係に問題があったため」「自分の将来の見込みが立たなかったため」など、介護関係の離職理由には、業務環境や将来設計、ライフプランに関わる項目も多く含まれるのです。
このような離職を招く事態が発生する裏には、採用戦略の不足が隠れていることも。次に、介護・福祉サービスにおいて、人手不足の原因になり得る項目について詳しく解説します。
原因1. 求人媒体で自社の魅力が伝わっていない
求人掲載のプラットフォームや採用サイトで、自社の魅力が伝わっていなければ、どんなに多くの人に見てもらっても応募してみようと思ってもらえない可能性が高まります。
介護業界の労働者不足が加速する影響で採用の競争率も激しい傾向にあり、競争率が高い業界での採用戦略では、「いかに他社よりも魅力的な職場に映るか」が、より良い人材を確保できるかのポイントです。求職者から他社と比べて魅力がないと感じられてしまっては、良い人材は集まらないのです。
また、より多くの人に求人を見てもらいたいからと、求人サイトや広告掲載にコストをかけすぎると、、自社の魅力となりうる待遇や労働環境の改善に充てられる予算が減ってしまいます。たとえば、現職スタッフへインタビューを実施し、不満に思う点の解消を図ることで改善ができれば、求める人材に選んでもらえる魅力を増やすことにつながるでしょう。
このように、求職者に対して自社の魅力を発信するためには、実際の職員が何に魅力を感じるかを知り、アピールする必要があるのです。
原因2. 採用する層を絞り過ぎている
日本における若年層の労働者数が減少傾向にある今、採用する年齢や国籍などを絞りすぎると、人材確保が困難になってしまいます。また、介護業界における人手不足は、ベテラン介護者の高齢化やライフステージの変化による離職も大きな要因のひとつです。
たとえば、高齢だからとベテラン勢を定年退職や不採用とする場合、せっかくの即戦力を失うことになります。しかし、介護業務の身体への負担が大きいため、業務の効率化や分担を実施しなければ、活躍することも厳しいと考えられます。
また、外国人労働者の確保は人員不足解消の一つのポイントです。調査によると、現場スタッフからは「人材不足解消のために早く来てほしい」との意見が多く見受けられます。一方で、「受け入れ体制が整っていないので急ぐ必要はない」との意見も多くあり、迅速な現場整備が求められているようです。
幅広い人材を取り入れて人手不足を解消するには、まず幅広い立場の人々を受け入れる体制を整え、環境を整備した上で人材を受け入れることが大切です。
原因3. 求人掲載フォームで3Kなどのネガティブなイメージを払拭できていない
介護・福祉業界では、ネガティブなイメージがキャリアチェンジのハードルとなっています。他業種への転職が後をやまない実情も後押しし、過酷な労働条件や低い給与、長時間労働といった「3K」の強いイメージが、他の職種からの転職や就職をためらわせているのです。
つまり、劣悪な労働環境のイメージを払拭する自社オリジナルのコンテンツをアピールすることで、競合との差を示して新たな労働力の確保を目指せると言えるでしょう。
原因4. 求人内容と実際とのギャップが大きい
「挑戦を受け入れると書いてあったのに、年功序列の色が残っていて意見を出しづらい……。」「聞いてた業務とギャップがあり、内容の割に給料が安すぎる……。」など、想像していた労働環境と現実のギャップがあり過ぎると、労働意欲を削ぐことにつながり、離職の原因になります。
採用サイトやプラットフォームでは、自社のこだわりや取り組みなど、魅力的なコンテンツをアピールすることは大切である一方、過剰によく見せる表現とならないように注意が必要です。
介護・福祉業界の人手不足解決策は
離職率の高さ改善が重要
介護・福祉業界における人手不足の解決には、離職率の高さ改善や、求職者に対するギャップをなくすことが鍵です。
次に、介護・福祉業界の人手不足に対する解決策について、詳しく解説します。
解決策1. 入社前後のギャップをなくす
介護・福祉業界における人手不足の解決策の一つとして「入社前後のギャップをなくす」ことがあります。たとえば、意欲的に業界を変えていこうと考えて入社した場合、現場の風通しの悪さや若者の意見を軽んじる風潮があれば、転職を考えざるを得ない状況となります。
このように、新卒・中途に関わらず入社前後のギャップが生じることで、ストレスや不安が増大し、早期離職の要因となるでしょう。
ギャップを無くす方法として、たとえば次のような施策があります。
- 入社前の情報提供強化
- 研修プログラムの充実
- マンツーマン指導の導入
業務内容や職場の雰囲気など、入社前にできる限り正確な情報を提供することで、新人の入社後の適応を促進します。
入社後の研修プログラムを充実させ、現場で必要なスキルや知識を効果的に習得できるようにします。
経験豊富なスタッフが新人をサポートし、実務の進行や問題解決においてリアルタイムでアドバイスを提供します。
入社前後のギャップをなくすことは、新人のモチベーション維持や長期的な定着につながるメリットも。この対策を実践することで、介護・福祉業界の人手不足解消に向けた一歩となるでしょう。
解決策2. ライフプランを検討しやすい環境を整える
介護・福祉業界における人手不足は深刻であり、その解決策の一つとして「ライフプランを検討しやすい環境を整える」ことが挙げられます。従来の働き方に疑問を感じる人々が増加し、ライフスタイルや将来の計画に合った働き方を求める声が高まっています。
たとえば、次のような施策があります。
- 施策1. キャリアパス作成
- 施策2. 資格取得の補助
- 施策3. 柔軟性の高い雇用形態を設定する
施策1. キャリアパス作成
キャリアパス作成は、従業員が自身の将来像を明確にし、その達成に向けた具体的なステップを設定するプロセスです。介護・福祉業界において、従業員がライフプランを検討しやすい環境を整えるための重要な施策の一つとして注目されています。
離職率の改善に役立つようなキャリアパスを作成するには、スタッフの意見を取り入れた将来のキャリア目標を設定したり、現在のスキルや経験を評価して目標達成に必要なスキル・資格を特定したりする必要があります。また、キャリアパスに準じた研修やキャリア開発プログラムを用意するなど、自分の成長を具体的に想像できる環境を整えることが大切です。
施策2. 資格取得の補助
資格取得の補助は、従業員が自己成長やキャリア形成を促進し、ライフプランを検討しやすい環境を整える施策の一つです。企業が従業員の資格取得を支援することで、人材のスキルアップやモチベーション向上、キャリア形成に対しての効果が期待されます。
このように、資格取得の補助は、従業員の成長と組織の発展を同時に促進する有効な手段です。ライフプランを検討しやすい環境を整えるために、企業は資格取得の補助制度を導入することがおすすめです。
施策3. 柔軟性の高い雇用形態を設定する
フルタイムやパートタイムなど、様々な雇用形態を選択できるようにし、個々のライフスタイルに合わせた働き方を可能にします。定時での仕事終了や残業の削減など、労働時間の柔軟性を高め、働きながら趣味や家族との時間を確保できるようにします。
これらの対策を通じて、従業員が自身のライフプランと仕事を両立しやすい環境が整えられれば、介護・福祉業界の人手不足問題の解決に向けた一歩となるでしょう。
解決策3. 未経験者でも仕事を覚えやすい研修プログラムを組む
介護・福祉業界は人手不足が深刻化しており、その解決策の一つとして未経験者でも仕事を覚えやすい研修プログラムを導入することが挙げられます。未経験者だからといって、最初のうちでも業務に貢献できない状態では、事業の損失となってしまいます。経験のない人材でも、新人研修を通して基礎から学ぶことでスムーズに業務に参加ができ、結果的に従業員全体の質の向上にもつながります。また、研修プログラムを職場の雰囲気や業務内容へ慣れるために役立たせることで、実践力育成を促進することができます。
このように、未経験者でも仕事を覚えやすい研修プログラムを組むことは、新人や未経験者にとって業界へのハードルが下がり、効率的な人材確保が期待できます。
解決策4. 子育て支援・介護支援など、魅力となり得る福利厚生を整える
介護・福祉業界では人手不足が深刻化していますが、この問題の一つの解決策として、魅力的な福利厚生制度の整備が挙げられます。子育て支援や介護支援など、従業員が働きやすい環境を整えることで、業界への就業意欲が高まり、人材確保につながります。
たとえば、子育てや介護と仕事の両立がしやすい環境を提供することで、従業員の満足度が向上し離職率低下に貢献でき、また、魅力的な福利厚生制度によって競争率の高い優秀な人材の獲得にも有利に働くでしょう。
このように、子育てや介護をする従業員が、安心して働ける環境を整えることで、離職率を下げながら良い人材の獲得にもつながります。
参考文献: 介護人材確保に向けた取組
解決策5. 採用する人材の窓口を広げる
介護・福祉業界における人手不足を解消するための重要な解決策の一つは、採用する人材の窓口を広げることです。これにより、より多様な候補者にアクセスでき、人材確保の可能性が高まります。
たとえば、医療や介護の経験だけでなく異なる経歴や専門性の活用ができるような求人要項を増やすことで、業界に新たな視点やスキルを導入できたり、国籍や年齢など求職者の多様性を認めることでターゲットを広げられ、採用効率の向上ができたりします。
また、求人広告やリクルーターなどのコストのかかる採用戦略のほか、オーガニック検索からの流入を目的とした採用サイトを活用すると、ターゲットを絞りつつも運用コストを最小限とした採用活動が期待できます。
解決策6. 採用プラットフォームを充実させる
介護・福祉業界における人手不足の解決策の一つは、採用プラットフォームを充実させることです。これにより、求職者と雇用主のマッチングを促進し、効果的な人材確保が可能となります。
たとえば、採用プラットフォームには次のようなものがあります。
- 求人サイト
(indeed、求人ボックス、ジョブメドレーなど) - 自社サイト
(ホームページ、採用サイトなど)
メリット:掲載料を支払えば多くの人に見てもらえる
デメリット:離職率が高かったり採用率が低いと費用対効果が悪い
メリット:長期的に見るとコスト削減になる、求人の窓口を増やせる、情報を自由に掲載できる
デメリット:初期費用がかかる、SEO対策をしなければ人に見てもらえない可能性がある
このようにさまざまなプラットフォームを活用して採用活動を行うには、各々の特性を理解してコンテンツを考える必要があります。
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介護・福祉業界の人手不足解決に役立つ
採用プラットフォーム作成に必要なポイント
介護・福祉業界の人手不足解決には、採用プラットフォームへこだわりを持たせたコンテンツが役立ちます。次に、募集数を増やしながら離職率を下げられるような採用コンテンツ作りに含めたい項目ポイントをご紹介します。
ポイント1. 強みやこだわりなど、自社のポイントをわかりやすく紹介する
求人サイトなどの採用プラットフォームでは、自社の強みやこだわりなどの、押し出しポイントをわかりやすく紹介し、アピールすることが大切です。たとえば、「自社のあるある」を紹介することで、業務や人間関係に対する入社前後のギャップを取り除くことができます。
また、キャッチコピーで簡潔にまとめたり、動画などのメディアを活用したりなどの工夫があると良いでしょう。
ポイント2. かっこよく働くリアルな姿を紹介する
スタッフのリアルな平日・休日の過ごし方をルーティーン紹介として掲載したり、動画や記事などインタビューで仕事に対する向き合い方や気持ちなどを紹介することで、入社した時の姿を現実的に想像できます。
1日のタイムスケジュールを追いながら、自分の求める働き方やワークライフバランスとマッチするのかを確認できるため、入社前後にギャップが生じづらくなります。
ポイント3. 時代に合わせた自社の施策を紹介する
生活の質や人間関係、ワークライフバランスを重要視される現代では、そのような環境整備的対策が求められています。会社として取り組みがあれば、求職者にとって大きなメリットに感じてもらえるでしょう。
施策としては、次のようなものがあります。
1. ハラスメント対策
ハラスメント対策とは、職場のさまざまなハラスメントを予防するt雨に行われる施策のこと。厚生労働省により、次のようなハラスメントを防止することが事業主の義務として定められています。
- セクシュアルハラスメント
- 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント
- パワーハラスメント
たとえば、妊娠・出産などのライフステージに変化がある状態でも社会参画を後押しできるように、育休取得をしやすくする雰囲気作りを紹介したり、管理職に対するハラスメント研修の実施をアピールしたりすると、時代にあった働き方ができる会社であると感じてもらえるきっかけ作りができます。
参考文献:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
2. 資格取得支援
資格手当の支給など、資格取得支援を行うことでスタッフの質や士気の向上に繋がります。資格取得支援とは、業務に必要なスキルや知識を含む資格の取得を、会社が金銭的に補助する仕組みのこと。
国も教育訓練給付制度としてキャリアアップを支援しているように、人材育成の効率化や生産性アップを目的にしながら、福利厚生として取り入れる企業が増えてきています。技術に加えてモチベーションが上がる仕組みは、会社にとってメリットにもなりつつ、社員にとっても魅力的な制度だと言えます。
未経験者用の研修プログラム
未経験者でも適応できる研修プログラムを作成することで、幅広い人材を取り入れることができます。未経験者に対して用意すべきものは教育資料だけではありません。
「初日からでも貢献できそうな頑張りを認められる業務を用意しておくこと」「残業が生じないようにする工夫」などの新人に対する環境づくりや、教育係へのコーチング方法のレクチャーなどのマネージャー職に対する整備も大切です。
このように、幅広い人材を取り入れつつ離職率を下げながら人手不足を解消するには、未経験者にとっても学びやすく働きやすい環境を整えることが大切です。
ポイント4. 募集要項を充実させる
募集要項は、給与や勤務時間、業務内容、応募条件などの、求人応募における検討材料をまとめたものです。求職者が自社について認知できる窓口であるため、応募者を増やすためには募集要項へ魅力的な内容を含める必要があります。
また、実際に働く姿を想像させるようなコンテンツや自社の掲げるモットー、よくある質問などを事前に掲載することで、求める人材にターゲットを絞りながら、応募者を増やすことにつながるでしょう。
採用サイトを活用した介護・福祉業界の
人手不足解消は集客→顧客育成が重要
採用サイトやプラットフォームを利用して人手不足を解消するには、Google検索やGoogle仕事、Indeedなどで上位にヒットさせ、できる限り多くの人に見てもらえる集客の仕組みと、アクセスユーザーを求人応募にまで導くナーチャリングや導線作りが重要です。
集客で認知してもらえる母数を増やすと、求職者が自社に興味を持ってもらえるチャンスも増やせます。また、自社にマッチする人材へ魅力的に感じてもらい応募してもらえるよう、育成ができる求人コンテンツを作ることで、良い人材を戦略的に確保できる仕組みができるのです。
興味を持つきっかけづくりとして上位表示させる方法には、リスティングやスポンサー求人などの課金する広告型の方法と、検索エンジン最適化(SEO)施策を用いたオーガニック検索型の方法があります。各々には次のようなメリット・デメリットがあります。
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一度上位を狙えれば継続的な施策になる |
・効果が出るまでに時間がかかる場合がある |
広告とオーガニック検索には特徴やメリット・デメリットがあります。自社に合った方法や、採用戦略としての集客について詳しく知りたい方は、「介護・福祉業界の人手不足|採用・求人に集客が必要な理由」をご覧下さい。
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